縁とタイミング③
実業団選手としてのスタート
大学生として、主将として、1人の選手として、リーグ戦を終えて部を引退した時の私は、本当にやり切った思いでいっぱいでした。これから就活して、普通に就職して、アーチェリーなんてやる暇もないだろうし、中途半端な形で続けるつもりもないし、と当時の私は考えていました。
そんな私に、大学時代の恩師がかけた言葉は今でも忘れられません。
「これまでチームのために本当に頑張ってきたから、今度は自分のためにもう少し頑張ってみたら?」
そうやって勧められたのが実業団チームの自衛隊体育学校です。
その言葉を聞いた私は、「実業団チームに入れるほどのレベルではないし、無理ですよ」と返した記憶があります。
そんな言葉をかけられた翌日、私はスーツを着て就活をしていました。企業のブースがいくつもある合同説明会です。その中の一つに自衛隊のブースがありました。
(そういえば昨日、自衛隊体育学校がどうとか言われたなぁ)
それを思い出した私は、そのブースにいた広報官の方に
「自衛隊体育学校のパンフレットってありますか?」
と聞きました。その日は普通に自衛隊の説明を聞いて、体育学校の情報はパンフレットだけもらって帰りました。
その翌日です、電話がかかってきたのは。自衛隊体育学校アーチェリー班の監督からでした。
「興味があるなら一度練習に来てみたらどうだ」
合同説明会のときにいた広報官の方が、わざわざアーチェリー班の監督に電話をして、興味がある学生がいると伝えてくださったのです。
もうアーチェリーは辞めようと思っていた日から3日の間に、実業団チームに練習参加させて頂けるところまで話が進みました。これは縁があるのかもしれないと思い練習に参加させて頂き、自衛隊体育学校の選手となることができました。
あのタイミングで自衛隊体育学校の話をされていなかったら…
あの日の合同説明会に参加していなかったら…
あの広報官の方に話しかけていなかったら…
広報官の方がわざわざ電話してくださっていなかったら…
どれか一つでもタイミングがずれていれば、今の私はありません。
そんなご縁とタイミングで実業団選手としてプレーさせて頂き、オリンピック出場はできませんでしたが、学生時代には想像できなかったレベルでアーチェリーがやれて、本当に感謝しています。
更なる出会い
そして現役引退直前に更なるご縁とタイミングで出会ったのがスポーツメンタルコーチ柘植陽一郎さんであり、スポーツメンタルコーチングです。
(あと3年早く出会っていればもっと上までいけたかもしれない)
スポーツメンタルコーチングに対する私の感想はこうでした。詳しくはこちら。
優秀なコーチがいたり強豪校だったりというような、決して恵まれた環境ではないところでアーチェリーをしてきた学生時代の経験や、実業団選手としての経験、スポーツメンタルコーチングに感じた可能性、これらを一人でも多くの選手や指導者にお伝えしたい。この思いから現在このような仕事をしています。
今後も「ご縁とタイミングを大切に」たくさんのスポーツに携わる方と繋がっていけたらと思います。